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Aska Temple

All about John Ubel and Aska Temple

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十字架泥棒

 序章
   三つの洗礼

 セバスチャンは、1966年4月21日にVillageに生まれた。生まれてすぐ、村はずれに
ある、ユダヤ教の尼僧の修道院で洗礼を受けた。洗礼台の上で、セバスチャンの頭に
聖水がかけられ、Johann Zdbacとして、セバスチャンは最初の洗礼を受けた。そのユ
ダヤ教会は、小さな修道院だった。薄暗い、教会の中で、十字架や祭壇が背後に聳え、
何か神秘的なものが漂う教会だった。Zdbacという名前は、ドイツ人のZdbac家が、
1911年に、日本の高知の浜辺に漂流し、辿り着き、日本人として同化していった家の
名前だった。セバスチャンの祖母の生家の名前がZdbacだった。第一次世界大戦がもう
すぐ始まる、不穏なヨーロッパから、Zdbac家は逃亡したのである。
 セバスチャンは、三歳で、ドイツ人牧師から、John Matthewという、第二の洗礼名
を授かった。ドイツプロテスタントのマシュー卿は、自分の名字を、セバスチャンの
洗礼名に与えた。既にドイツ語やフランス語で、原書を読んでいたセバスチャンは、
すぐラテン語やパイプオルガンを習得していき、マシュー卿のセバスチャンへの期待
は大きかったが、セバスチャンはまだ三歳児で、牧師になるのは、早過ぎ、セバスチ
ャンは三歳の牧師として失敗した。
 十七歳で、スコットランドの教会の高校に通っていたセバスチャンは、
Sebastian Zdbacとして、三たび洗礼を受けた。友人スクイーズの立ち会いの下、セバ
スチャンは、三たび、洗礼台で、聖水を受けた。そして、エレファスレヴィの本に出
てくる或る儀式を、John Matthewの名前で受けた。友人スクイーズと一緒に、セバス
チャンは、その儀式をふざけ気味に受けたが、セバスチャンもスクイーズもこの儀式
を真剣に受け、証人になるのが、怖かったから、わざとふざけた。



 第二章
    裕二

 セバスチャンが三歳になり、最初の学校を卒業し、Villageに帰ってくると弟がいた。
母マリアを、向いの体育教師West River清照が、半ばレイプして作らせた子供、裕二だ
った。父ヨゼフは、裕二を自分の籍に入れたが、戸籍には、裕二の項目に、
父West River清照と書かれてあった。
 セバスチャンが建てた教会の横に、セバスチャンの家を建て、母マリアはエレクリッ
クピアノを弾いていた。牛乳屋さんが配達しにくる牛乳を待ちわびる、三歳児の牧師、
セバスチャンの家で、父ヨゼフが仕事に行って留守の時、体育教師、
West River清照は、山奥のセバスチャンの家までやって来て、堂々とさも当然のように、
母マリアをレイプした。三歳児のセバスチャンは、この獣のような清照に暴力では敵わ
なかった。またセバスチャンは、非暴力に徹しなければならなかった。母マリアが清照
に犯されている間、セバスチャンはただ外で、ドラム缶を叩いて叫んでいた。
 裕二が三歳になる頃、母マリアと祖母カナンは、裕二を孤児院に預ける事にした。不
貞の子、裕二を家に置いていては、いずれ災危が訪れると、宗教の先生から忠告された
からである。裕二は最後に、母マリアから授乳を受け、マリアとセバスチャンは、裕二
を孤児院に連れて行った。孤児院の子供達は、普通に遊んでいて、孤児院の先生は、
 「この子もすぐ慣れますよ。」
と言い、マリアとセバスチャンは帰ろうとした。しかし、裕二は先生の指図通りに、孤
児院の仲間に入ろうとせず、ずっとセバスチャンに、
 「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」
と立ったまま叫び続けて、孤児院の先生の制止を振り切ってまで、先生の言いつけを無
視し、
 「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」
と、叫び続けた。セバスチャンは、裕二が可愛そうになり、
 「俺の弟にする。」
と、連れ帰った。裕二は後に、セバスチャンの人生を滅茶苦茶にする。




 第3章
    UFOの到来

 裕二は、セバスチャンの行く処は、どこでも付いて廻った。4kmはある友人の家ま
で三歳の裕二は、付いて歩いた。歩き方はまだ拙かった。
 「ボチュ、裕二。」
と、自己紹介する裕二は、セバスチャンの弟になるために必死だった。
 セバスチャンが、11歳の時、庭に、大きなSTAGE LIGHTのようなものがずっと照ら
し出されていた。そして点滅し、セバスチャンを呼んでいた。それは明らかに、UFO
のLIGHTだった。三人の1966年生まれの子供達が、その時同時にUFOから招待されて
いた。一人は、橿原市の団地の少年、カセナだった。彼はその時、
 「このままの成績だと、東京大に行けない。」
と、塾の先生に云われ、団地のベランダから飛び込もうかと、悩んでいる時、UFOが
到来した。カセナを待って呼び続ける、UFOのステージライトを目の前で、ベランダ
から見るカセナは、やはり自分は、貴族の血を引いた選民なのだと、自信を取り戻し
た。もう一人は、南朝貴族の出身の少女だった。その少女は、カセナを励ますために、
UFOのステージライトを浴びていた。その三人がUFOの光りの中に入るかどうかは、セ
バスチャンが光りの中に入るかどうかにかかっていた。UFOのステージライトは、
 「ようこそ。」
と点滅していた。セバスチャンは布団から飛び出し、ゆっくりと庭のステージライトの
方へ歩いて行った。そして裕二に、
 「あとはお前に任す。俺はUFOと一緒に宇宙に行く。」
と、言い残した。その時裕二は、セバスチャンの脚を掴み、離そうとしなかった。UFO
のステージライトは点滅していき、
 「早く来い、早く来い。」
 「一緒に宇宙に行こう。」
と、セバスチャンを呼んでた。裕二は泣き出した。
 「お兄ちゃんに出て行かれたら、困る。」
と、泣いて、セバスチャンを離そうとしなかった。その夜、UFOのステージライトは一
晩中光っていた。セバスチャンは宇宙に旅立つ機会を、裕二に邪魔され、失った。



 第四章
    三つの十字架と十字架泥棒

 セバスチャンが教会を移転させ、教会の横の自宅も引き払った後、セバスチャンが教
会で読んでいた、ゲーテやシラー、ノヴァーリスやヘルダーリンといった、豪奢な装丁
のハードカバーのドイツ語の原書を、体育教師West River清照は、
 「預かる。」
と言って、盗んで行った。そしてマシュー卿から授かった華麗な十字架と、証書類を、
当然のようにWest River清照は盗んで行った。West River家は、サンカの木こりの出身で、
青い目をした、アイヌ日本原住民の家系だった。明治に入る頃、賭博で儲け、分割され
たZdbac家の本家の屋敷を買った。West River家は、Zdbac家の本家の逸品の蒐集にやっ
きになっていき、鎧兜や、Zdbac家の大切な家宝を、最初は借金の方に、そして後には、
堂々と、当然のように盗み、コレクションしていった。セバスチャンの大切な十字架と
原書と証書類は、こうして清照に盗られた。ただセバスチャンは、清照に吐き捨てるよ
うに、
 「これは、マシュー卿が、俺を制御するために渡されたものだ。これを盗るという事
は、あんたがマシュー卿に仕えるっちゅう事やで。後で泣き入れて、謝ってきても知ら
んからな。若死にしたかったら、盗って行け。」
West River清照は、60歳すぐに、飲酒運転事故で世を去った。そして、清照の娘、奈江
子も38歳でこの世を去った。
 セバスチャンが17歳になる一ヶ月前、ユダヤ教のシスターが、セバスチャンにナイフ
で襲いかかり、そして、金色の鉛のような匂いのする、大きな十字架を家に置いて行っ
た。その十字架は部屋に置いておくと、死の香りがした。West River清照の妻、バルナ
と娘、奈江子は、当然のように、セバスチャンの家に上がり、その十字架を当たり前の
ように盗っていった。その十字架は、ユダヤ教の十字架で、バルナは、皆の前で見せび
らかし、エホバの証人のシスターを、十字架をかけたバルナの前に跪かせ、
 「バルナ様。」
と呼ばせていた。
 セバスチャン17歳の夏、クリスチャンのセインから、銀色のカトリックの十字架を、
護身用にと、セバスチャンに渡された。West River家は当然のように、Zdbac家に上が
り込み、その十字架も盗んだ。



 第五章
    West River家の自己破産

 セバスチャンが、京都から帰って来た1988年、West River家は不良債権を抱えた。
West River家は、セバスチャンの父ヨゼフの土地までも奪い取ろうとした。大きなス
ピーカーを置き、犬のように、バルナや清照、奈江子が吠えた。奈江子は、West River
家が盗んだ、十字架が運んでくる聖霊への応対で、発狂していった。それはバルナも
清照も同じだった。セバスチャンに来るメッセージをバルナや奈江子や清照が仲介し
ていき、そのやり取りは、次第に、狂気の沙汰になっていった。セバスチャンは、
West River家の引き起こす狂った芝居の幕を降ろす為に、自分が身代わりに精神病院に
入った。
 そして、1998年、West River家の不良債権は、何倍にも増え、銀行は精算を要求し、
West River家の人々は、再び発狂した。銀行の催促に、バルナは、Zdbac家に八つ当た
りし、再び、セバスチャンが身代わりに入院した。
 2008年、West River家は多額の不良債権を抱えて、自己破産した。既に清照も奈江
子も死んでもういないWest River家は、Zdbac家から盗んだ物を返す事は、最後までな
かった。そして、West Riverバルナは、Zdbac家から印鑑を盗み、有印文書偽装の疑い
で逮捕された。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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